バッグ

大阪・今里 横武株式会社さん

激動の時代を超えて
創業95年の鞄縫製工場

今回shirotamaが企画したキャンバス地のトートバッグを作って頂いた大阪・今里の横武株式会社さんへ取材に行きました。
横武株式会社さんは、今から約95年前に創業者横田武雄氏が大阪に丁稚奉公後、独立にあたり親方からミシン1台をもらい創業されました。理由は不明ですが、大阪の鞄業界は奈良県中南部出身者が丁稚奉公で大阪市内に出てこられた方が多く、現在も横武株式会社さんにはそのあたりの出身者が在籍されています。
その後、創業者横田武雄氏の妻の弟が現在のビジネスの基礎を確立されました。当時は人力車で上町台地を通り南久宝寺の鞄問屋まで商品を運んでいたそうです。創業は生野区でしたが、昭和47年頃現在の今里に移転、その後敷地の拡張を続け現在に至っています。鞄の産地といえば兵庫県の豊岡が有名ですが、大阪にも50年以上の歴史のある鞄工場が多く、西日本屈指の鞄産地として豊岡とともに有名です。

昔は海外製品が入ってきていないので、店頭の鞄は全て国産でした。
そのため今と比べものにならないくらい物がよく売れ、商品を作れば作るほど売れたといいます。1970年大阪万博の年は、売り上げが現在と変わらないほどの金額だったそうです。(現在の貨幣価値では約3倍から4倍になる)
夏場は暇なので会社の掃除などで時間を潰していてもそのくらいの売り上げができたそうです。現社長は今から35年前の創業60周年頃に入社されました。会社内に飾られている60周年の記念写真に写っておられます。

鞄縫製工場 横武株式会社の現社長
横武株式会社

鞄といえども種類によって業界が別

鞄と一口に言っても袋物業界、レディースのハンドバッグ業界、メンズの鞄業界はそれぞれ工程や職人の技術も全く違うので、業界も別です。特に、生地の鞄と革の鞄では作り方が全く違います。
例えば、横武株式会社さんのように生地の鞄が多い工場ではファスナーを生地に貼らずに縫える職人さんがいますが、革の工場ではファスナーを貼り付けてから縫い付けます。現在ではどちらも互いの領域までビジネスを拡大されていますので、その境目は薄れていますが、それでも職人の技術はそれぞれに違っているため工賃と効率のバランスが難しいそうです。

今後の展望と課題

今後の課題としてはやはり海外生産と国内生産とのバランスと現社長はおっしゃいます。海外生産と国内生産との価格差は依然としてありますが、素材はやはり日本製が圧倒的に優れています。例えば中国の合皮は、小ロットで購入すると生産日が分からないので経年変化がすでに起こりだしている物もありますが、日本製ではそのような心配はまずありません。また、コロナ禍では中国での検品や視察にいけないので、製品が到着するまで安心できないというリスクが伴います。ただ、だからといって全てを国内生産に移行するというのは現実的でなく、そのバランスが難しくなっています。
さらに社長は、今後の課題として新しい販路の開拓をあげられています。特にユーザーに直接販売するBtoCに関して興味をお持ちですが、それには問題も山積み。現状では今までの仕事に精一杯で、ECサイトを始めるにも人材やノウハウが確保できません。様々な展示会にも出店したりしましたが、メーカー、問屋、小売店の微妙な関係性が問題になることも多く、なかなか踏み出すことができていないようです。問屋への商売では受注生産なので原則的に在庫リスクはありませんが、直接小売りをするということは自社在庫のリスクもついて回ります。そういったことを同業者が結束して知恵を出し合おうと、大阪の鞄メーカー6社で「大阪鞄ブランド委員会」を立ち上げ、業界の知名度向上も図っていますが、各社それぞれ事情もあり、そう簡単には一筋縄でいきません。

横武株式会社さんのような課題は、日本中のメーカーが同じ様なレベルで抱えており、その解決方法を見いだせないでいます。shirotamaではそういったメーカーの抱える問題もしっかりと共有し、消費者の要望と照らし合わせて商品の企画を行いたいと思っています。
今回企画し、横武株式会社さんに作って頂いたトートバッグは、まずその第1歩としてshirotamaがリリースします。素材は丈夫な帆布製。買い物バッグや出張バッグ、ママーズバッグなど用途も広く、大きめサイズで使い勝手も抜群です。ユーザーが自由に使い道を考えるトートバッグ、ナチュラルなカラーのコーディネートにも自然に馴染んでくれそうです。

バッグ製造過程 バッグ
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shirotamaは、株式会社ロングスとコイズミデザインファクトリーが協同して行っているプロジェクトです。

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